Sample List


くるくる
 イクミ
雨ときどきロックンロール
 ウルー×双翼
彼女らの流儀
 いち×粉コロモ
Goodbye our god.
 左都×音羊
コオロギビーツ!
 文月そら
Allegro Tempo giusto
 アルエム×*
世界を謳う、混沌の歌姫。
 ドラゴニズム

風邪の君
 伊音×ヤナギ

空き缶と雨の日の私
 りんしょく
Goodbye Melancholy
        , Goodbye

 匿名希望×占石
ハッピーエンド
 けんごち
Our Song
 kobax×Anemos
Give up the ghost.
 橘
Way Up
 shuta
誰のための歌?
 山鳥
卒業
 鈴木このり×れもたろ
ランニングハイ
 すなふ
simile
 久慈光樹
Not Liar, Not falseNess.
 k.seiru×都岡さち
Ode to Joy
 風見由大×アリ
隣り合わせのサンクチュアリ
 広瀬凌×海底
風邪の君
伊音×ヤナギ



 岩沢が風邪を引いた。朝起きて、寝癖を直していたら本人からそれを告げるメールが来ていた。送信欄に入江と関根の名前もあったから、わざわざ言う必要はないだろう。とりあえず、ゆりに報告してから、下準備を整えて看病がてらお見舞いに行く事にした。
「岩沢ー、入るよー?」
 二度ノックして、返事も聞かず扉を開けて部屋に入る。玄関で右手に抱えていた大きな紙袋二つを下ろし、中へ進むとベッドで布団を被り、マスクを付けた岩沢がいた。
「おっす」
「ん……ああ、ひさ子か。いらっしゃい」
 そう言って体を起こす岩沢。鼻頭や頬は赤くなってるし、目もいつもよりはぼーっとしているように見える。寝てていいよ、と言ったが、岩沢は大丈夫、と答えてそのままでいようとする。まぁいいか。久々に岩沢の部屋に入ったけど、かなり綺麗に保たれている。机の上には必要最小限の筆記用具が入ったペン立てとノート、譜面が広げられていた。
「また遅くまで曲作ってたのか?」
「あ、うん。一応温かくはしてたんだけどな……」
ノートを端っこに寄せて、校内の売店で買ったスポーツドリンクをテーブルに置く。
「わざわざいいのに、ありがと」
 私は座布団を持って来て、ベッド横で腰を下ろした。ふー、と足を伸ばして一息つく。部屋の端で加湿器が静かに音を立てて、水蒸気を発生させていた。
「具合はどうだ?」
「んー、喉が痛いかな……大きな声で歌えそうにないや」
 全くもって情けないな、と岩沢は付け足して嘲笑う。鼻をすする。枕元に置いてあるティッシュ箱から一枚引っこ抜いて鼻をかむ。
「ホントだよ。ガルデモの柱がいなくてどーすんだよ」
「いやぁごめんごめん……二,三日すれば治ると思うよ。あ、折角だから飲み物ちょうだい」