Sample List


くるくる
 イクミ
雨ときどきロックンロール
 ウルー×双翼
彼女らの流儀
 いち×粉コロモ
Goodbye our god.
 左都×音羊
コオロギビーツ!
 文月そら
Allegro Tempo giusto
 アルエム×*
世界を謳う、混沌の歌姫。
 ドラゴニズム
風邪の君
 伊音×ヤナギ
空き缶と雨の日の私
 りんしょく
Goodbye Melancholy
        , Goodbye

 匿名希望×占石
ハッピーエンド
 けんごち
Our Song
 kobax×Anemos
Give up the ghost.
 橘
Way Up
 shuta
誰のための歌?
 山鳥
卒業
 鈴木このり×れもたろ
ランニングハイ
 すなふ
simile
 久慈光樹

Not Liar, Not falseNess.
 k.seiru×都岡さち

Ode to Joy
 風見由大×アリ
隣り合わせのサンクチュアリ
 広瀬凌×海底
Not Liar, Not falseNess.
 k.seiru×都岡さち



 うそつきのあたしがあたしはうそつきだよと言った。

 あたしはうそばかりついている。
 だから何一つ本当のことはなくて、虚ろなのだと思う。
 虚偽、という言葉があるように、虚ろで偽りでできているようなものだ。
 ……それも当たり前だ、あたしは実際問題空っぽで、あたまの中も心の中もすっからかん。空っぽで中身は全然入ってない。からだの中には何も詰まっていなかった。持ち上げて振ってみたらきっと音がすることもないだろう。

 小さいころの話だ。
 ふつうの子供だった、と思う。
 思う、というのは「それ」が起こる前のあたしと後のあたしではぜんぜん別人になっていて、記憶がどうにもあいまいだから。鮮明に覚えていることもある。タイヤがアスファルトをこする音、ブレーキのけたたましい音、それからドン、という音。響きの割にはなんだかとても軽やかに聞こえた。
 交通事故だった。
 後ろから跳ね飛ばされた、という。
 目撃者のひとが言うには、宙をくるくると人形のように舞っていたそうだ。
 ちょっと見てみたかったかもしれない、とあたしは思う。
 事故の瞬間を覚えているのか、と訊かれると、確かに太陽と地面を交互に見たような、そうでないような。ただ太陽の光より、雲がまったくない青空のほうが印象深かった。うそみたいにきれいだった。おえかきで使った水色の絵の具も顔負けの真っ青さ。
 あたしを轢いたひとも真っ青だったんだろうけれど。
 何故かあたしはそのひとを恨む気にはなれない。
 最初からなかったわけじゃないけれど、今はもうない。
 とにかく、あたしは小さいころに寝たきり生活になってしまった。
 それだけ、覚えておいてくれるとうれしい。