Sample List


くるくる
 イクミ
雨ときどきロックンロール
 ウルー×双翼
彼女らの流儀
 いち×粉コロモ
Goodbye our god.
 左都×音羊
コオロギビーツ!
 文月そら
Allegro Tempo giusto
 アルエム×*
世界を謳う、混沌の歌姫。
 ドラゴニズム
風邪の君
 伊音×ヤナギ
空き缶と雨の日の私
 りんしょく
Goodbye Melancholy
        , Goodbye

 匿名希望×占石
ハッピーエンド
 けんごち
Our Song
 kobax×Anemos

Give up the ghost.
 橘

Way Up
 shuta
誰のための歌?
 山鳥
卒業
 鈴木このり×れもたろ
ランニングハイ
 すなふ
simile
 久慈光樹
Not Liar, Not falseNess.
 k.seiru×都岡さち
Ode to Joy
 風見由大×アリ
隣り合わせのサンクチュアリ
 広瀬凌×海底
Give up the ghost.
 橘



「――そろそろ、部屋に戻るよ。何か気分も良くなったし」
「そうですか」
 あたしが屋上のドアに向かおうとした時、後ろから遊佐の声がした。
「ひさ子さん」
「ん? どしたの?」
「そういえば、貴女はどうするおつもりなんですか?」
「何を?」
「体育館の件です。もう、終わらせるつもりなんですか? 皆さんで」
「うん、まぁねえ、それでもいいかなって思う。あたしは皆で一緒に居られればいいって人だから、楽しく終われたらいいんじゃないかなぁ。岩沢みたいに何かを成し遂げて、なんて考えたことないし」
 遊佐の笑い声が小さく聞こえる。
「いいんじゃないですか。そんなものは人それぞれですよ」
「もう、ボーカルも居ないし、新しく見つける気も無かったからね。もう潮時なのかも」
「いいんじゃないですか? もう、終わりにしても」
「どう思う?……皆、あたしに賛成してくれるかな?」
 そう。あたしはそれが怖かった。
 関根と入江が、岩沢やユイと同じようにあたしの傍から居なくなることが。それが自分の我儘だと分かっていても、やっぱり怖い。
「……わかりません。でも、仕方ないですよ。人にはそれぞれ優先順位がある。さっきも言いましたけど、自分のエゴを人に押し付けるのなんて、悲しいですし」
「悲しい?」
「ええ、死んでるのにまだ、そんな呪いじみた、人間のしがらみに囚われてることがね」
 あたしはその言葉についつい笑ってしまう。
「確かにそりゃ呪いだわ」
 ゆっくりと遊佐の方に振り返る。遊佐はさっきまでと同じように、ギターケースを抱えて地面に座り込んでいた。
「で、あんたはどうするの? 良かったら、一緒にどう?」
「ありがとうございます。でも、私にはまだやりたいことがあるので」
「あぁ、戦線の方ね。やっぱり、ゆりっぺが心配?」
「それもありますけどね。でも、それだけじゃないんです」
 そう言うと、遊佐はゆっくりと目を閉じた。何か考え事をするように、じっと黙り込む。
 風に遊佐の髪が、ゆらゆらと揺れる。その長い髪をぼんやり眺めていると、ゆっくりとその目が開かれた。