Sample List


くるくる
 イクミ
雨ときどきロックンロール
 ウルー×双翼
彼女らの流儀
 いち×粉コロモ

Goodbye our god.
 左都×音羊

コオロギビーツ!
 文月そら
Allegro Tempo giusto
 アルエム×*
世界を謳う、混沌の歌姫。
 ドラゴニズム
風邪の君
 伊音×ヤナギ
空き缶と雨の日の私
 りんしょく
Goodbye Melancholy
        , Goodbye

 匿名希望×占石
ハッピーエンド
 けんごち
Our Song
 kobax×Anemos
Give up the ghost.
 橘
Way Up
 shuta
誰のための歌?
 山鳥
卒業
 鈴木このり×れもたろ
ランニングハイ
 すなふ
simile
 久慈光樹
Not Liar, Not falseNess.
 k.seiru×都岡さち
Ode to Joy
 風見由大×アリ
隣り合わせのサンクチュアリ
 広瀬凌×海底
Goodbye our god.
 左都×音羊



「音楽好き?」
 いちばん初めに出会ったとき、真っ先にそう聞いてきた岩沢ちはどんな表情をしていたっけ? 消えてしまったその存在のように記憶はひどく朧げだ。
 
 じりじりと夏の強い日差しが世界を照りつける。生徒たちはそんな太陽の猛攻から逃げるように建物の中へと避難している。あたしもそのうちの一人で、そのへんの自販機で買った水を片手にベンチに座り、日射しが強すぎるあまり明度の高くなったグラウンドをぼーっと見つめていた。
 暑い、と思わず呟きがこぼれた。実際、気温が人間の体温を上回っていたのは事実だったし、そんな思いが言葉として出たのは当然だった。だけど、ゆらゆらと揺れる熱気を見ていた後、ふいに浮かんだ考えはどうにもよくないものだった。
 あれ?岩沢は?
 いつもならあたしの隣でいつものように同じ銘柄の水を飲んでいるはずなのに、あいつは一体どこに行ったって言うんだ。なんて考えたところであぁ、あいつはもういないんだっけ。と現実を思い出す。
 こうしてひとりでいるとすぐに何度目か分からない事実の再確認を始めている。考えだす度にそのことを思い出さないようにしている自分がいた。思い出すのがつらい、そんな理由で岩沢のことを考えないようにしている自分がいて、そのじつに身勝手な理由で岩沢を締め出している考えにあたし自身嫌気がさしていた。
「ひさ子先輩!!」
 2階からユイが手を振っている。時間を見るともう練習再開時間だった。軽く手をあげ了解の合図をする。さて、あたしは今うまく笑えてるだろうか?