Sample List
くるくる イクミ 雨ときどきロックンロール ウルー×双翼 彼女らの流儀 いち×粉コロモ Goodbye our god. 左都×音羊 コオロギビーツ! 文月そら Allegro Tempo giusto アルエム×* 世界を謳う、混沌の歌姫。 ドラゴニズム 風邪の君 伊音×ヤナギ 空き缶と雨の日の私 りんしょく Goodbye Melancholy , Goodbye 匿名希望×占石 ハッピーエンド けんごち Our Song kobax×Anemos Give up the ghost. 橘 Way Up shuta 誰のための歌? 山鳥 卒業 鈴木このり×れもたろ ランニングハイ すなふ simile 久慈光樹 Not Liar, Not falseNess. k.seiru×都岡さち Ode to Joy 風見由大×アリ 隣り合わせのサンクチュアリ 広瀬凌×海底 |
コオロギビーツ! 文月そら ズーン。ガガガガン! ズ、ズーーン! 銃声とお腹に響く地響きの音。空気に火薬と砂ぼこりの臭いが充満している。 先導するトラックが、校庭に勢い良く乗り入れてきた。 車輪を滑らせながら急停車すると、チャーさんがトラックのドアを開けて叫ぶ。 「すぐくるぞ! 気をつけろ!」 その叫びとともに校門が崩れ落ちた。 満月だ。丸い丸い満月が、崩れた校門の向こう、上がる粉塵の向こうにぼんやりと輝いている。 闇の向こうから、SSSのみんながバラバラと走ってくるのが見える。 「もっと追い立てろ! 作戦地域に追い込め!」 「入ってきたぞ! 恐れるな! ここでやつの脚を止めろ! 校庭で脚止めできなかったら作戦の根底が覆るぞ!」 「バカ! もっと狙いは外せ! 流れ弾が当たったらどうする!」 その様子を、私たちは屋上から見つめていた。 「あ……あれ!」 ひさ子さんが指差した先、今や瓦礫の山と化した校門の影から、輝く月影の下、不自然に黒い不吉な影が、ぬっと突き出してきたのだった。 「ゆりっぺさん。目標の校庭内への誘導成功しました。頃合です」 双眼鏡で状況を確認していた遊佐さんが告げる。 「……オーケイ。じゃあガルデモのみんな頼んだわよ! この作戦の成否、あんたたちにかけるわ!」 ゆりさんの言葉。いよいよ、はじまっちゃうんだ……。 ……正直なところ冗談じゃない。とも思う。私たちって陽動部隊じゃなかったの? それが矢面に……しかも相手は……。 「……ま、しょうがないよ」 まるで私の心を読んだかのように、岩沢さんが私の髪をくしゃくしゃとまぜかえした。 「いつものライブとおんなじだよ。今、私たちの音楽を必要としている人がいる。だから、私たちは演奏するんだよ」 岩沢さんって不思議だ。 言葉自体はとってもシンプルなのに、なぜだが勇気をくれる。 ステージ前はいつもそう。ガルデモのライブは、岩沢さんの言葉から始まるんだ。 私たちに向けていた笑顔をぐるりと巡らせ、岩沢さんはヤツのほうを睨みすえた。 まるで狙いを定めるかのように、振り上げたピックで、ぴたりと黒い影を差す。 「さあ、お待たせ。楽しいライブの時間だよ!」 あの子の呼吸は分かってる。耳をすまして、タイミングをはかる。 私はスティックを四つ鳴らして、演奏の開始をみんなに伝える。 「オペレーション・フィッシュストーム スタート!」 ゆりさんの号令で、SSSのみんなも駆け出す。 私は胸いっぱいの思いを込めて、ドラムを叩き始めた。 絶対に助けるからね、しおりん! |