Sample List


くるくる
 イクミ
雨ときどきロックンロール
 ウルー×双翼
彼女らの流儀
 いち×粉コロモ
Goodbye our god.
 左都×音羊
コオロギビーツ!
 文月そら

Allegro Tempo giusto
 アルエム×*

世界を謳う、混沌の歌姫。
 ドラゴニズム
風邪の君
 伊音×ヤナギ
空き缶と雨の日の私
 りんしょく
Goodbye Melancholy
        , Goodbye

 匿名希望×占石
ハッピーエンド
 けんごち
Our Song
 kobax×Anemos
Give up the ghost.
 橘
Way Up
 shuta
誰のための歌?
 山鳥
卒業
 鈴木このり×れもたろ
ランニングハイ
 すなふ
simile
 久慈光樹
Not Liar, Not falseNess.
 k.seiru×都岡さち
Ode to Joy
 風見由大×アリ
隣り合わせのサンクチュアリ
 広瀬凌×海底
Allegro Tempo giusto
 アルエム×*



 初めて音を立てたのは、私が凄く小さい頃だった。
 家の奥、ちょっとだけ重たいドアを開けると、そこには父がいて手に持った木の棒で何かを叩いていた。タンっという軽やかな音がなる。同時に地面が揺れているような音が聞こえてくる。二つの音は混じり合い、私の体にぶつかってきた。
 しばらくして父は、私に気づくとにこりと笑いかけてきた。これはなぁに? 父は、私の頭を撫でる。これはね、ドラムだよ。叩いてみるかい? そう言って木の棒を差し出してきた。首を傾げながら、それを受け取る。父は椅子にスペースを作ると、そこにわたしを座らせた。二人座ると、当たり前だけど窮屈で私の背中は父のお腹にぴったりくっ付いていた。
 私がわざと後ろに体を倒すと暖かな体温の奥、小さくトン、トンいう音が聞こえてきた。私はもっとはっきりと聞きたくて、ぐーっと体を倒す。こら、落ちちゃうよ。はーい。
 眼前に広がるものを見る。そこには大小、様々な丸があった。丸だらけだね。父にそういうと、そうだよっと優しく微笑んだ。
 父は、私の手を包み込むように持つと、ゆっくりと掲げて振り下ろす。タンっという音が鳴った。今度は、私の両手を持つと交互に木の棒を打ち下ろす。タンっタンっと短い音。その音は先ほど、父の胸の奥で聞いた音に似ている気がした。お父さんの音と同じだ。振り返ると父は笑っていた。
 向き直って眼前の白い丸を見る。今度は、自分の意志で木の棒を掲げる。トン、トンという音がどこから聞こえてくる。少しして自分の内から聞こえてくる音だと気づいた。なんだか嬉しくなってきて小さくほくそえむ。私は、腕を力一杯振り下ろした。
 体内から聞こえてくる音と連なるようなタンっという短く乾いた音が鳴った。